お一人様が巡る旅の記録

単独行動するブログ主の備忘録 - ホテル・飛行機・観劇・その他 -

萩石見空港を勝手に考える

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先日、鳥取砂丘コナン空港に行った際、「1日5往復の羽田便」にすご~く衝撃を受けました(笑)

 

私が帰省に利用するとすれば萩石見空港なのですが、利用率が低迷しています。

大阪伊丹便は利用率低迷で路線廃止です。(夏季に2週間だけ運行)

頼みの綱の羽田便(1日2往復)も2018年4月以降は減便の可能性が高いのです。

そうなれば1日1往復の羽田便しかない空港に確実な利便性を感じる方がいるのか疑問です。

このままでは路線廃止=廃港 へと一直線で突っ走ることになります。

改善策があるのか、解答のない問題を考えてみます。

 

 

1.萩石見空港とは

1993年、島根県益田市に開港した地方管理空港。

JR山陰本線益田駅から4km。

新幹線も高速道路もなかった島根県西部、山口県日本海側における唯一の空港。

正式名称は石見空港。地元だけではやっていけず隣県に頼って愛称に隣の市名をつけた珍しい例。

飛行機が来ないことを活かして(?)、真っ昼間の滑走路でハーフマラソン大会をやったこともある(らしい)。

現在、全日空が1日2往復の羽田便を運行。

 

 

 

2.現状

まず、利用状況のデータです。

それぞれ自治体の資料からもってきました。

国内線、それも羽田便限定で考えてみます。

 

 

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鳥取県HPより

 

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3.基礎データ

山陰の他の空港との差異をみてみます。

※隠岐空港は除外

  鳥取 米子 出雲 萩石見
主航空会社 ANA ANA JAL ANA
75日前最安料金 9790 10290 11090 11590
a.近隣人口 333000 400500 334500 193000
b.年間利用者 368000 549000 593000 119000
搭乗率 62% 72% 78% 49%
b/a 110.51% 137.08% 177.28% 61.65%

1.各空港からおよそ40km以内の自治体の人口を合算

2.米子と出雲で重複して計算している自治体はなく、松江市のみ2等分で振り分け

 

料金(運賃)は距離に応じて計算されています。そこは公正です。

他空港との一番大きな差異は、近隣人口と年間利用者数だということがわかります。

観光客だけで考えた場合、出雲空港のエリアである松江市・出雲市がそれぞれ年間800万人超なのに対し、萩石見空港エリアにある浜田市で200万人いません。

来訪者のほとんどは広島・岡山・関西からで、飛行機を利用しない陸路です。

 

標準財政規模

¥1518億5400万円

 松江・出雲・安来・大田・雲南の各市合計

¥493億600万円

 江津・浜田・益田・津和野の各市町合計

 

島根県西部の経済規模は、東部の3分の1以下であることがわかります。

ちなみに東部5市合計でも、政令指定都市最下位の岡山市1市に負けます。

 

 

 

4.ちょっと愚痴

飛行機に乗る人は2種類に分かれます。

マイラーと非マイラー?

いぇいぇ、地域に来てくれる人(降客)と、地域に住む人(乗客)です。

極端なことを言えば、地域に住む人(お年寄りや赤ん坊を含む)が年に1回往復すれば年間利用者は地域人口の2倍になるはずです。

いくら「飛行機で来て下さい」と言っても、まず地元住民が恩恵を享受できない空港を誰が利用するでしょうか。

地元住民が利用するのに加えて、外部地域から観光やビジネスで来る人を取り込めば利用率は上乗せされます。

もともと人口の少ない地域ではありますが、近隣人口さえ取り込めていない、地域の人に支持されていないのかとまで思ってしまいます。

公表資料では合算されていて降客と乗客の比率を窺い知ることはできませんが、空港(自治体)はその資料を持っています。

精査すれば改善策も見つかるはずなのに、公表しないところがお役所仕事なんでしょう。

 

誰のための空港か?

修行僧ではないでしょうから、普通の人は年に何度も飛行機には乗らないでしょう。

しかし、助成金を出すから乗ってください、ではなく旅行に行く楽しさも、飛行機を利用する便利さも啓蒙できず、作れば何とかなると思って「空港が欲しい」という自治体の長や議会は国民の税金を無駄遣いしかできないのではないかと思います。

 

昔、米子空港がソウル便誘致に成功したときに島根県知事が「出雲空港にもソウル便が欲しい」と言ったのが頭に残っています。

米子空港と出雲空港の間の距離や地域人口をご存知の方なら、それが如何に無茶なことかわかります。

「隣が持っているから自分も欲しい」

幼稚園児のような考えです。

素人ながらに開いた口がふさがりませんでした。

 

確かに空港があれば便利ですが、しっかりと需要予測を立てて、振興策も真面目に考えた上で整備しないと、かえって地域の足を引っ張る金食い虫になりかねません。

 

 

5.問題点

1.人口が少ない

 島根県は日本で2番目に人口が少ない県で、しかも人口のほとんどは東部に集中。

 若年層に頼ろうにも大学は浜田市に一つ、萩市に一つあるだけで少子高齢化と過疎化が急速に進行中。

 その大学さえ研究開発型の学科はなく、外部の人間は興味を持たない。

 まず、分母である地域利用者が少ないのです。

 

2.産業構造

 1次産業の比率が高く、農林水産畜産業は労働集約型の典型。

 鉄鋼、電子産業、IT産業のほとんどは東部にあります。

 工場を誘致しようにも陸上交通網が整備途上で物流が滞る。

 また、県内全般に公共事業の比率が全国ワースト級。

 飛行機に乗って遊びに行く余裕、ビジネス客を迎え入れる企業数が他の地域より少ないと推測できます。

 

3.観光コンテンツ

 「風光明媚で自然が豊富」は特色が無い

 コナンや出雲大社など、全国的に知名度のあるコンテンツが無い

 「天然コケッコー」 興味あったんですがまだ観てないですw

 ユネスコ無形文化遺産「石州和紙」大量生産できない

 要するに「話題性」がない

 

島根県って知ってますか~?

うんうん、なんか本州の西のほうですよね。

錦織圭? ヒーローですよ~。松江市ですけどね。

出雲大社? 有りますね。東部ですけどね。

因幡の白ウサギ? 居ますね~。鳥取県ですけどね。

石見銀山? 実は萩石見空港より出雲空港のほうがはるかに近いんですよ。

他に島根県西部で有名なものって何を思い浮かべますかぁ~?

出身者にとってさえムチャ振りの質問です。

 

 

 

 

6.勝手に改善策を検討

1.国際線を誘致する

 「すき間を狙う」

 他空港と競合せず、まだ日本に路線を持っていない国や空港を探して日本で唯一の路線を目指す。

 今から羽田空港の発着枠に割り込み、獲得するのは至難の業です。

 しかし、羽田空港に午前・午後各1便の発着枠を持っている空港、そして今なら昼間の好きな時間に発着枠を設定できる空港が島根県西部に1つあります。

 ターミナルは1つで乗り継ぎに迷うこともありません。

 地方空港(田舎)としてWin-Winの関係を、いぇWinaka-Winakaの関係を構築してみる。

 例)ブータン王国:東アジアに就航路線が無い!

 

 

2.ANAをあきらめ、LCCを誘致する

 とにかく航空券の価格を下げる

 平均搭乗率80%以上を維持できない空港に来てくれる会社はなさそう。

 これ、ネタを引っ張るの無理です・・・。

 

3.需要が落ち込む1月と2月をテコ入れ

 大学と高校の卒業旅行者を狙い、羽田便1往復無料にする。

 旅行情報でも羽田と地方では大きく違う条件を埋め、人生初期の海外旅行を成功体験させる

 「海外旅行は楽しかった」が重要です。

 

 飛行機で域外大学への受験者は1往復無料

 飛行機で域外から域内2大学受験者(将来の住民)も無料にする。

 空港を利用する地域なら、帰省や家族の訪問などで飛行機利用が期待できる 

 

 無料にしても将来的に搭乗が期待できるところは無料にすべきです。

 とにかくヒトに乗ってもらう。

 ヒトが動けばカネが動く、は経済の基本なのですから。

 

 

4.すべての運賃を半分負担する

 助成金という形式で、なりふり構わず税金に頼る

 どうせこれまでも税金で維持してきた空港です。いまさら恥も外聞もありません。

 総事業費250億円以上。毎年2億円近い赤字をいまも計上中。

 

と、ここまで考えていたら、奇妙なことに気付きました。

周辺自治体でつくる「萩石見空港利用拡大促進協議会」というのがあるのですが、

協議会に参加していると思われる益田市・浜田市・吉賀町・津和野町・萩市・阿武町の住民への助成金が¥6000なのに対し、

協議会に参加しておらず、利用圏内にある島根県江津市は独自の助成金を¥10000出しているのです。

他の自治体よりも助成金を多く出してでも空港を維持したいと推測される江津市がなぜ協議会に参加していないのか?

お役所って、不思議です・・・。

 

まぁ、続けましょう。 

 

5.自衛隊を誘致する

 萩石見空港の利用想定範囲にある萩市

 萩市の沖合45キロに「見島」という島があります。

 そこに航空自衛隊の駐屯地があるのですが滑走路を持っていません。

 一番近い滑走路は山を越えて100km以上離れた岩国基地です。

 萩石見空港に自衛隊を誘致できれば、災害派遣の迅速化・有事即応・駐屯地人口増に伴う経済の波及効果などが見込めます。

 何よりも、空港を自衛隊が警備してくれるのですから「航空機のナイトスティ」が視野に入ります。

 

 

6.空港を廃港にして太陽光・風力発電所にする

 収支を考えるとこれが一番現実的ではないかと思います。

  

 

7.聖地巡礼を期待してみる。

 森鴎外 島根県津和野町

 マフィアの首領はいいが、設定が〇リコンな時点でオシづらい。

 

 高杉晋作 山口県萩市

 嫁さんをほったらかして帰って来なかったイメージがアウト。

 刀剣も幕末頃では評価は高くなく実装されてないので女子ウケしなさそう。

 

 

8.廃校廃港の危機に、空港アイドルを結成してライブする。

 そもそも、島根県西部・萩市からはアイドルとして出る人材がいないから困っているのであって、アイドルを輩出するためのノウハウもなさそう。

 

 

もうネタが浮かびません(笑)

こんな状況で路線や空港の存続なんてもう奇跡です。

奇跡を実現する方法としては

「ボクと契約して魔法少女に」なる代償として空港存続を依頼する

もしくは

住民全員が主業とは別に投資家として大成功し、飛行機をゲタ代わりに使えるようになる

くらいですかねぇ。

 

 

 

7.最後に

さて、いろいろ好き勝手に書いてきましたが一番身勝手なことは、

私は故郷に発展してほしいとは思っていないのです。

居住している血筋や友人や地元の人たちには申し訳ないのですけどね(笑)

 

灯りがほとんどない中に浮かび上がる満天の星空、

水が澄みきって底が見え泳ぐことさえできる川、

水平線の向こうの漁り火と、波間に青白く光る夜光虫、

夏の夜に家の灯りに魅かれて飛んでくるカブトムシやクワガタ

失われてしまえば取り戻すことができないものばかりです。

便利で豊かにはなって欲しいのですが、故郷の姿を失ってほしくもない。

地方出身者の身勝手な願いです。