「ワタシ ちゅうこくハ ひろしまノ 産マレアルね」
怪しげな奇術師の、いかにもなセリフになぜか納得していたような気がします。
二昔前の中国人に持つイメージと言えば、アニメや映画の影響で中華料理店でしょうか。
喜劇駅前シリーズでのフランキー堺のイメージですね。ジャイアント馬場や王貞治など豪華なゲスト出演が話題でした。
一昔前であれば世界の工場。
安い労働力を背景に衣料品や機械の組み立てなど大量生産を担っていました。
でも実態を放送されることは稀で、何かこう漠然と謎な国です。
その中国が、世界最先端の社会に成りつつありますよ。
個々は普通の人々
最初に中国人と知り合ったのは、ネット上でした。
チャットで話をし、初の中国旅行はその人のところ。
その後、会社の先輩が中国に赴任したこともあり、中国には客観的な興味を持つようになりました。
また別の中国人とネット上で話をして、彼のところへも旅行してみました。
どちらの生活も豊かではありませんでしたが、精一杯のもてなしをとても嬉しく感じました。
日本人が普通に中国を訪ねて問題なく旅行できると思っています。
飲食店でも店舗での恣意的な悪行動の不安はありません。
話に聞くと、日本人への料理に他の客の残り物を出してくる国もあるらしいですからね。
むやみに安全と言っているわけではなく、常識的な自己管理は必要です。
それに不慮の事故には気を付けないといけません。
12億人以上いますし、漢民族優位ですが他の民族も多いですから考え方の幅は広くて、でも総じて見れば個々人は普通の人々だと思います。
開け、ゴマ!
芝麻(ゴマ)信用というものをご存知でしょうか。
中国通販大手アリペイのアプリ「支付宝」の機能の一つで、なんと
「人間の価値」を評価してくれます。
個人情報を入力することで、350~950の範囲で点数がつきます。
この1企業が行った評価が、今では人生を左右するまでになっているのです。
そもそも、すでに中国ではスマートフォンを持つか持たないか、ではなくスマートフォンがなければ生活できないレベルにまで到達していて、単なるガジェットやツールを超えた存在に昇華しています。
スマートフォンがなければ通信、連絡はもちろん買い物もできず、場合によっては身分証明さえ難しくなる時があります。
芝麻信用が何をもって価値を点数化するかの全容は不明ですが、
・収入額
・定期的な支出額
・犯罪歴
・税金や支払いの滞納
・(人物との)コネクション
・高速鉄道や飛行機内での悪い行動
などが影響していると言われています。
犯罪歴や滞納があれば点数が下がり、収入が多く、定期的な支出があれば点数が上がる。
クレジットカードのヒストリーのようなものですね。
加えて、他人との交流が多ければ点数が上がるようです。
また、交流した相手の点数が高ければ自分の点数も引き上げられる。
影響力も見るんでしょうかね?
それならSNSのインフルエンサーなどはポイントが高そうな気がします。
友人(中国人)のゴマ信用を見せてもらいました。
平凡そうな点数ですが、漢民族ではありませんので相当優秀な気がします。
点数が低いと人間失格
ゴマ信用で人間の価値を評価する、と書きました。
日本ならクレカのヒストリーが悪くても、新しいクレカは作れませんが生活はできます。
「単にアプリの点数だろ?」
そう軽く考えるのは、素人の赤坂二丁目でございますよ。
ゴマ信用の点数が低いと?
・銀行の借り入れ利率が優遇されない
・自転車やバイクなどがレンタルされない
・アパートが借りられない
・公務員になれない
・それどころか就職ができない
・結婚ができない
・友人からハブられる
ここまでの影響があります。
自分の点数が下がると判ってて、点数が底辺の人物と交流しようなんて誰も思いませんよね?
ということで最終的には、人生が詰んでしまうわけです。
ゴマ=人間の価値
と言っても過言ではないと思うのです。
まず生きていくために、品行方正であらねばならないという切実な時代がやってまいりました。
つかまえちゃうぞぉ♪
「社会の片隅でつつましやかに生きていく。誰も俺を止められないさ」
そんな高倉健のようなロマンあふれる生き方はもう通じません。
道路、街角、公共交通機関、公共の建物、企業のビルディング...。
国内のいたるところに監視カメラが設置してあり、記録されていきます。
中国路線の飛行機の中では、アクションカメラを装備した男性が定期的に飛行中の機内を巡回(撮影)しています。
また、中国国内でスマートフォンやネットを利用しようと思えば、偽名は使えません。
実名での登録を義務付けられています。
また通話内容、通信内容もすべて政府のサーバーを経由します。
GPSを切っておけばいいじゃないか?
例えGPSをオフにしていてもスマートフォンの基地局から、三角測量のような方法でおよその位置を割り出す機能があるってご存知でした?
それにネットをするためにはアクセスポイントが必要です。
どのアクセスポイントの近くにいるのか、そこからの動線をたどる。
これは中国だけでなく、グーグルも使っている手法です。
ネット上には、本当の意味で匿名性などありません。
スマートフォンの固有ID、誰が、どこで、何を言ったのか。
すべてが政府に筒抜けです。
現場に来た警察官に見逃してもらう方法は無い
日本ほどワイロの通じにくい国はないと思いますが、今後は中国がそうなります。
なんと、貴州省の警察官はアクションカメラを装備させられており、警察官が現場で交わした言葉や行動がすべて記録されます。
その中にワイロ授受や犯罪行為がないかどうかをチェックされるのです。
今後、5G携帯の時代が来ればリアルタイムで判断され、ワイロを受け取った警察官ともどもその場で逮捕されるというサスペンス映画のような場面が繰り広げられることでしょう。
どこにいても逮捕まで20分?
中国ほど最先端技術を使いこなしている国はない、と言えるでしょう。
前述した、個人情報やスマートフォン固有IDで人物の特定はすぐに出来ます。
ここまでなら警察とかCIAみたいな組織でも出来るでしょう。
問題はそこに至るまで、そして実際に現地で逮捕するまでの時間です。
12億人を超える人口、膨大な数の監視カメラ、通信ログ、基地局、アクセスポイント。
それらの中から、たった一人を見つけて逮捕するのにかかる時間は最短20分を切るそうです。
20分あれば!
一目ぼれが30回はできそうな気がするのは私だけでしょうか?
美人で優しいCAさんやGSさんが多い空港とか、国内海外関係なく秒単位で一目ぼれできそうです。
目移りしてしまいますね。
その20分という時間を可能にしたのが、AIによる顔認証です。
中国内の空港を巡回している警備ロボット「机器人巡警」くん!
(会社の先輩が撮影)
このロボットの前に立つと、正面の人物をカメラで撮影して顔認証で特定し、装備された画面に個人情報を表示する機能があるそうです。
ということは?
中国に住んでいる人に限りませんよね?
外国人であってもパスポートの写真、館内で飛び交っている携帯の電波などから識別されていると考えられます。
外国人が単純に私用で旅行していても、「どこかの誰かの都合」による命令一つで20分以内に逮捕することが可能ということです。
中国は安全!
中国という国は、
最先端技術を惜しげもなく投下、実用化し、
膨大な数の監視カメラの映像、通話記録、通信記録、アクセスログを「5G通信」で「ビッグデータ」として蓄積保存活用し、
必要時にはその中から「AI」が瞬時に特定情報を選び出し、
政府機関同士の通信は盗聴できない「量子通信(実験中)」で国の安全に役立てる。
という先進的な社会を構築しているのです。
わかりますよね?
判りましたね?
中国は安全なのです。
「誰」にとって安全なのかは怖くて言えませんが、
そのおこぼれ的に、旅行者にも安全なんですよ?
品行方正で善良な国民だけが選ばれて残されつつある、安全な中国へレッツ・トラベル!
ヤっバいな、私。
こんな事ばかり書いていたら、中国から出られないかも...。