セルビア系アメリカ人「ニコラ・テスラ」をご存知でしょうか。
電気関係で実績を残した科学者で、電気についてはエジソンと並ぶ有名人。
両親ともにセルビア人ですが、本人はセルビアに住んだことはないようです。
エジソンが興した会社ゼネラルエレクトリック(GE)で働いていたのですが、直流電流のエジソンに対して交流電流の有利さを説いてGEを飛び出しました。
交流電流、誘導電流(交流モーター)の研究を進め、電気科学の発展に寄与しました。
電磁力(磁束密度)の単位「テスラ」はこの人の名前をとったもので、
電気自動車ベンチャー企業「テスラ モータース」もニコラ・テスラにあやかって命名したそうです。
住んだことは無くても郷土の誇り!
空港に名前をつけてみたり、
自国通貨に顔や計算式が刷り込まれたり。
そのニコラ・テスラのミュージアムがあるというので行ってみました。
旧市街の一角に
前述のとおり、本人はセルビアに住んだことがないらしいですから、両親に関係する家か何かですかね?
ミュージアムといっても、博物館というより記念館くらいの大きさです。
普通の中流家庭の一軒家くらいですかね。
入館料は500ディナール
入ってちょっと奥の右手に受付があり、そこで500ディナールを払います。
日本円で600円くらいです。
少し戻って玄関左にはニコラ・テスラがどんな功績をのこし、どんな構想を持っていたかの説明らしきものがディスプレイに展示されています。
まぁ、それぞれの発明との結びつき、でしょうね。
展示模型は操作禁止
いくつか展示されている模型は、原理等を説明する小型のものばかりですが、
ケースにも入っていないのに「お触り禁止」。
うっかり触ってしまうところでした。
説明会は大盛況
日に2度、ボランティア学芸員による展示ツアーが行われているらしいです。
ツアーの目玉が、このテスラコイルを使った放電実験。
高電圧高周波の電磁波を起こすと手に持った蛍光灯が光る、というものです。
伝記や身の回り品
ニコラ・テスラの功績を偲ぶミュージアムですので、伝記なども多数、また当時の持ち物も展示してあります。
が、建物自体ほんとに小さいものですので、ツアーが無ければ20分程度で見終わるようなものでした。
先駆者すぎた悲劇の科学者
昔、とある番組でニコラ・テスラという人物の功績を知っていたのですが、
このニコラ・テスラさん、時代を先走りすぎたんだと思います。
- - - - 以下、私の記憶にあるニコラ・テスラのお話です - - - -
現在は普通に送電線に乗っている交流電力ですが、エジソン(GE)は直流をやめようとはしませんでした。
直流は遠くへ送電すると無駄が大きくなります。
交流電力なら高電圧低電流にすれば遠くまで効率的に送電することができるのです。
テスラは交流電流の有利さを世の中に訴えましたが、エジソンは「交流電流は人を殺せる」とネガティブキャンペーンに走り、テスラとエジソンの仲は決定的に悪くなっていきます。
そこに目をつけてGEに対抗したのがWH(ウェスチングハウス)社でしたが、
テスラが提唱した「世界システム」に資金を食いつぶされそうになってテスラを見捨てました。
「世界システム」とは、ざっくり言うと「無線を使って世界中に電力と通信を供給するシステム」です。
21世紀になった現在でさえ完璧には実現できていない構想を、100年前に提唱しただけでも先駆的過ぎますが、技術的にも資金的にも無謀すぎました。
- - - - - - - - 以上 だいたいこんな話 - - - - - - - - -
知識、構想ともに素晴らしかったのに、事業経営者としてはエジソンに勝つことができなかった科学者の一端を垣間見ることができました。
成功していれば?
もっと大きなミュージアムが建っていたんだろうなぁ。